AVDで少しでも早くデスクトップ画面を表示させる方法

VDIに接続した際に、デスクトップ画面が表示されるまで待たされる場合があります。症状は決まっていて、黒い画面の状態で10分以上待たされたりします。ブラックアウト現象とも呼ばれる。多くの場合、この問題が発生するのは、1台のマルチセッションに対し複数人が同時に接続した場合に起こります。

そして、この問題が厄介なのは、原因が多岐にわたるところです。一概に回答を示すことが出来ません。ちなみに、過去に原因だったものはこちらです。

・プロファイル用ストレージのIOPSが不足していた
・セッションホストへのユーザー集約数が多すぎた
・セッションホストのCPUリソースが不足していた
・セッションホストのディスクIOPSが不足していた
・特定のKBが原因だった
・FSLogixのバージョンが古いものだった
・セッションホストにインストールしていたセキュリティソフトウェアが原因だった
・クライアントデバイスのディスプレイドライバーが古いものだった

今回は、この多岐にわたる[問題箇所の切り分け方法]と[少しでも早くデスクトップ画面を表示させる方法]を解説したいと思います。

これらの箇所から特定していく

■設計書の見直し

先ずは、問題箇所の切り分けを行う前に、AVD環境の情報を集めます。多くの場合、設計書からの情報で問題を引き起こしそうな箇所の見当を付ける事ができます。よくあるのが、ANF/FilesのIOPSを無視した設計や、1VMに多くのユーザーを収容している場合です。

【AVD設計情報】
・総ユーザー数=
・VMサイズ=
・1VMあたりのセッション数=
・セッションホストのマネージドディスク=
・ANF/FilesのSKU/ボリュームサイズ=
・FSLogixプロファイルサイズ=
・FSLogixの設定情報=
・スケーリングプラン設定情報=
・グループポリシー設定情報=

■問題箇所の切り分け方法

問題箇所を特定するために、下記内容を実施していきます。過去の経験から、発生箇所を洗い出しております。おそらく、どこかの項目で改善が見られると思います。

【切り分け方法】
・FSLogixは最新版ですか?
・導入当初から、発生していましたか?
・発生のきっかけはありましたか?
・どのクライアントデバイス&どのセッションホストでも発生しますか?
・直接RDP接続をしても発生しますか?
・ストレージ側のIOPSは足りていますか?
・クリーンなOSイメージでも発生しますか?
・FSLogixを削除した状態でも発生しますか?
・マシンサイズ(コア数)を上げても発生しますか?
・(セッションホスト)Premium Diskでも発生しますか?
・別テナントで構築したAVD環境でも発生しますか?

■少しでも早くデスクトップ画面を表示させる方法

これらの方法は、黒画面が発生していなくても、高速化につながる有効な方法です。

【コストはかかるが効果的な対策】
・CPUコア数やクロックが高いVMを選択する。(2core/userがベスト)
・セッションホストにPremium Diskを利用する。
・セッションホストの起動台数を増やし、[幅優先]を利用する。
・1VMあたりの収容数を減らす。※16core/16user → 16core/8user
・1VMあたりの収容数を小さくする。※16core/16user → 8core/8user

【コストをかけない対策】
・サインインのタイミングをずらす。
・ネットワーク経路を最短パスにする。強制トンネリング、VPN、プロキシは利用しない
・一度接続したセッションを切らないようにする。
カスタムイメージテンプレートで最適化を実施する。
・FSLogixを最新版にする。
・FSLogixで[Profile Container]を利用する。
・FSLogixで[VHDCompactDisk][ProfileType]を利用しない。
・Windows Updateを実施する。
固定プロファイルを利用する。←設計方針は変わってしまうが「最速」