今回は、AVD環境を東日本(プライマリ)~西日本(セカンダリ)での冗長構成で構築したいと思います。
AVDは、”AVD管理プレーン”と”Azureサブスクリプション”の二階建て構成となっております。AVD管理プレーンは、世界中に展開しているAzureデータセンターに構築されており、
当然ながら、東日本、西日本リージョンにも構築済みとなります。
DRを検討する際には、”AVD管理プレーン”と”Azureサブスクリプション”の2箇所を考慮する必要があります。
【AVD管理プレーンに対してのDR検討】
先ずは、AVD管理プレーンへの接続方法をみていきます。
① [Traffic Manager]を利用して、一番近い[RDWeb]に接続を行います。
② [RDWeb]から認証のため、[AzureAD]にリダイレクトされます。
③ 認証を通過すると、[RDWeb]を通して、[Feed](Workspace/AppGroup)を取得します。
④ [Feed]は[Traffic Manager]を利用して、[Metadata]があるリージョンの[RDBroker]に接続し[Metadata](RDPfile/Icon)を取得します。
⑤ RDPfileを元に[Front Door]を経由して、一番近い[RDGateway]に接続を行います。
⑥ [RDGateway]は[Traffic Manager]を利用して、セッションホストがあるリージョンの[RDBroker]に接続します。
⑦ [RDBroker]は接続可能なセッションホストに対し、[RDGateway]経由してクライアントのセッションに接続するように指示します。
※クライアントは最寄りの[RDGateway]に、SessionHostは最寄りの[RDBroker]に接続
このように、AVD管理プレーンへの接続は、自動で最寄りのリージョンに接続されるため、
ユーザー側でDR対策を講じる必要はありません。
仮に、東日本のAVD管理プレーンが停止した場合、次に近い西日本側に接続されます。
【Azureサブスクリプションに対してのDR検討】
AzureサブスクリプションのDRは、管理プレーンほど簡単ではありません。サブスクリプション上には複数のリソースが存在するためです。先ずは、最低限必要となるリソースを洗い出し、次にレプリケーション方法を検討したいと思います。
レプリケーションしておきたいリソース
・Master Image:Shared Image Galleryにてレプリケーションを行う。
・User Profile:ANFのクロスリージョンレプリケーション機能を利用する。
※ANF未提供リージョンでは、FSLogix(Cloud Cache)にて両方のリージョンにUser Profileを保存する方法もある。
・Pooled(Session Host):Master Imageから作成できるのでレプリケーションは必須ではないが、RTOを重視するのであればASRを利用する。
・Personal(Session Host):ユーザーによる更新分を保護するため、ASRを利用する。移行後は、メタデータリソースを再作成し、ホストプールへの再登録が必要となる。
※ローカルプロファイルを利用する場合、ANFは不要
・Active Directory:両方のリージョン用にADがあるとよい。オンプレでも可。
・Express Route:両方のリージョンで敷設しておく必要があります。※VPNでも可
※メタデータは、ペアリージョン間でバックアップ[東日本→西日本]されております。
ただし、リージョン障害時に切り替わる事は無いので、再作成する必要があります。
・ホストプール
・アプリケーショングループ
・ワークスペース
・ユーザー割り当て情報
各リソースのレプリケーション方法
・Master Image の設定はこちら
「マスターイメージ管理サービス! 共有イメージギャラリー を試す!」
・Azure NetApp Files の設定はこちら
「マネージドなファイルサーバー Azure NetApp Files を試す!」
「Azure NetApp Files で Cross Region Replication を試す!」
・FSLogix の設定はこちら
「Azure Virtual Desktop 用のマスターイメージを作成してみる!」※Step2
[Profile Container]の場合 ※オススメ
例:優先度1=プライマリANF、優先度2=セカンダリANF
\\ANF_East.avd.com\Primary;\\ANF-WEST.avd.com\Secondary;
[Cloud Cache]の場合
例:優先度1=プライマリANF、優先度2=セカンダリANF
type=smb,connectionString=\\ANF_East.avd.com\Primary;type=smb,connectionString=\\ANF-WEST.avd.com\Secondary;
※データ送信料削減のため、プライマリSession HostからセカンダリANF向けの通信をNSGでブロックしてください。セカンダリリージョンでも実施。
※コスト優先の場合は、Blob GRSがあるが気まぐれ非同期となります。
※オブジェクト レプリケーションは、Page Blob未対応のため対象外
・Session Host(Personal) の設定はこちら
「リージョン冗長 Azure Site Recovery (ASR) を試す!」
おまけ DRでは無く、両リージョン間を行き来して利用したい場合
・Master Image:Shared Image Galleryにてレプリケーションを行う。
・User Profile:Azure Premium Filesを利用し、FSLogix(Cloud Cache)にて両方のリージョンにUser Profileを保存する。
※ANFもGlobal Peering経由で接続ができるようになりました。
・Pooled(Session Host):予めSesion Hostを作成しておく。
・Personal(Session Host):予めSesion Hostを作成しておく。
・Active Directory:両方のリージョン用にADがあるとよい。オンプレでも可。
・Express Route:両方のリージョンで敷設しておく必要があります。※VPNでも可